農家=ゼネラリスト

2020年10月21日

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農家となって2年、まだスタートアップ中ということで、野菜だけで食っていくのは難しい経営状況ですが、少しずつ、自分らしい生き方を今の仕事に見出しつつあります。

タイトルにも書いた「農家=ゼネラリスト」という話、農家は「百姓」ともいいますよね。中には「自分は百姓とよべるにはウン十年早い」とおっしゃる謙虚な方もいて、「百姓」という言葉にはベテランを超越した意味合いがある場合があるみたいですが、僕はそれだけでなく、「ゼネラリスト」や、リベラルアーツ的教養を備えた「全体人間」という意味で捉えています。

農家って、自分でいろんなことができないといけません。栽培だけでなく、昔から土木的なことをやったり、稲わらを編んで草履やカゴを作ったり、気象を読んだり(観天望気)、これは現代版の農業だと、自分でウェブページやを立ち上げて、あるいはSNSで情報発信をしたり、場合によってはPOPを描いたり、経理その他事務作業をしたり、マーケティング分析をしたり、収穫した野菜で新しいレシピを編み出したり、枚挙に暇がないですが、企業が役割ごとに設けている各部署のしごとをほぼ網羅して家族だけでやってるわけです。

そういう意味では個人事業であれば大なり小なりゼネラリスト的な働きかたなのかもしれませんが、特に農家は「最強」だと思っています。

なぜか、それは、農家が「食いっぱぐれない」からです。

世界の資源争奪戦は、かつての石油石炭といった化石燃料から「食」へとシフトしてきています。すべてが持続可能なエコ・エシカル志向となり、ESG投資の広がりから見ても、化石燃料の需要は今後下がっていくでしょう。一方、人が生きていく上で欠かせないのが食料。そのもとになる「種子」の独占が始まっています。「食」は決して、企業の独占物にしてはいけないのであって、その主役は農家であるべきです。

悪い癖でまた本題から逸れそうなので戻りますが、「百姓」とは「百の姓(しごと)」といわれ、もともとゼネラリスト的な職業だったし、これからもそうあり続けます。農業は大規模化・分業化よりも、小回りの効く「小農」や「家族農業」であるほうが多様性が生まれますし、これからの価値観多様化の時代の要請にも合うでしょう。

それに僕個人、農家の立場としても、いろんなことに関われるほうが断然楽しいです。自分で農園ロゴやPOPなども作ってみたり、ホームページを自分で構築したり、お気に入りのカメラで撮った風景や野菜の写真を自分でデジタル現像したり、野菜乾燥機や家具もDIYで自作したり、プログラミングをしたり・・・。

確かにサラリーマン時代に仕事でやっていた部分もありますが、広く浅くなりに、それらは基本独学で身につけました。「好きこそものの上手なれ」ですね。

それに、世界はとにかく広くて深いです。数え切れないくらいの「世界」があります。ごく一部の世界しか知らないなんて損な気がします。だから僕は、浅くてもいいので、いろんなことを幅広くやりたいと考えます。全く関係のなさそうな複数の分野が化学反応を起こして、それこそこれまでになかったようなイノベーションが生まれるかもしれないですね^^;

これからの長い人生、農家としての仕事(農産物の生産・販売)だけで終わりたいとは微塵も思いません。もっとやりたいことがごまんとあります。ただ、「やらなければならない」にならないように気をつけてます。少しでも義務感が入り込んでくると、とたんに面白くなるなりますので。

とにもかくにも、「楽しもう!!」を合言葉にしたいですね^^;

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伊藤祐介|Yusuke ITO

伊藤祐介|Yusuke ITO

自然とアートが好きな自然栽培農家(シンフォニアファーム)。多趣味で飽き性。