会計フリー(freee)、やめました。

2020年10月23日

スポンサーリンク

2年前に就農してからお世話になってきたクラウド会計ソフトfreee。それを今回やめました

ずっとfreeeを使っていく確証もなかったので、月額課金で使っていたのですが、これまで月額税抜980円だったのが値上げで1180円に。今年の5月だったかなと思います。

月に1180円支払うに見合う価値(労力負担の減少とかミスが起きにくいシステムとか)があれば継続しようと思ったのですが、総合的に考えて、それだけの価値は見いだせないと判断しました。

freeeをやめた理由

理由は4つあります。

理由その1

まず1つめに、松竹梅と3パターンあるコースで一番安いスタータープラン(これを使っていました)だと、なぜか農業用の決算書が自動作成できないのです。クラウド会計ソフトを導入する一番のメリットって、確定申告作業の負担を大幅に減らすことのはずなのですが、確定申告の時期になると、総勘定元帳に並んでいる、普段仕訳で使っている各勘定科目ごとに、それらが農業用決算書上の科目のどこに該当するか当てはめていって集計していかないといけないんです。これがなかなか面倒でした(汗)

とはいえ、勘定科目の対応表を作っておいたので、2回め以降はまだ楽になるのですが、農業用決算書を自動作成できないのであれば、わざわざ年間1万以上を支払ってクラウド会計を使う必要性も薄れてきたわけです。マネーフォワードとか弥生とかのクラウド会計も調べてみましたが、知る限りはこれらも低予算コースだと農業用決算書に対応していないようでした。

理由その2

2つめに、金融機関等との同期による取引データ自動取得機能。これってクラウド会計の一番のオシかもしれないですが、1年半くらい?使ってみた感想としては、逆に面倒なことも頻発して、なんのためにこの機能を使ってるのかわからなくなってきました。というのは、同期サービスの種類によってはなぜか毎回API連携が途切れて、毎度認証しなおさないといけないとか(セキュリティの影響?)、普段は同期できていても、たまに金融機関側のセキュリティ上の再確認の関係で認証しなおさないといけなかったりするわけです。セキュリティについては銀行側も対策に慎重にならざるをえないのは仕方ないですが、これでは無駄に手間が増えるだけで本末転倒です。また、将来的にAPI連携自体がなくなってしまうサービスも出てくるリスクがあります。そうなると、自動と手動が混在してしまい、より管理が難しくなります。

理由その3

3つめに、アプリという存在。いまの時代、スマホでどこにいてもアプリを使って操作ができる便利な時代になりましたが、それもケースバイケース。私の場合、農作業に集中したい出先(畑)で経理のことはあまり考えたくありません。畑では、やはり栽培のことだけを考えるほうがスマートだと思います。家に帰ったら、頭を切り替えて経理関係の仕事に集中してまとめてやりたい派です。そのため、そもそもスマホなどの専用アプリは必要ないということになります。クラウドである必要がない、ということになれば、クラウド会計ソフトを使う理由もなくなります。

もちろん、事業規模とか業態によってはクラウドの恩恵が大きいのかもしれないのですが、少なくとも私にとっては、帳簿関係というのはそもそも緊急を要するものではないので、出先で確認することなどは基本ありません。スタンドアロン型の会計ソフトで、自宅で確認できれば十分ということになります。

理由その4

4つめに、納品書や請求書の作成機能に関する理由があります。freeeはどのプランでも納品書や請求書、領収書を作成して出力できますが、少なくとも私が使っていたスタータープランでは複数の納品書を合算して請求書が作れませんでした。ひとつの取引先に対して月に複数の納品書を作成しており、月末締めで1ヶ月分まとめて請求するわけですが、請求書を作る際にも手間がかかります。

「フリーランスのための超簡単!青色申告」

というわけで、デメリットがこれだけ積み重なってしまったため、freeeは卒業することにしました。いまは無料プランに移行しています。念の為データを残しておくためです。

今ではかわりに、「フリーランスのための超簡単!青色申告」というシェアウェア(エクセル版)を使っています。これは毎年秋頃に書籍が販売されて、そこにソフトウェアもついてくるようですが、私は書籍は購入せず、こちらのサイトからシェアウェアのみ税抜1,200円で購入しました。

freeeを使っていたころは、月額課金だと税抜で年間14,000円以上かかっていたのが、こちらのシェアウェアだと1,200円で済みます。90%以上の省コストです。

仕訳も、毎月末にまとめて仕訳をするだけ。それほど時間はかかりません。同一の出荷先(売上)や同類の支出(費用)などであれば、1ヶ月分をまとめて1つの仕訳としてもよいと思います。アプリのように急な通知が来ないので気が楽になりました。僕のようなマイペース人間にはちょうどよい感じです。

勘定科目も、最初から決まっているものもありますが、資産・負債・費用それぞれ独自に追加可能になっています。僕は、費用として開業費償却や種苗費、動力光熱費や支払手数料、資産は開業費(繰延資産)、農機具等、一括償却資産などを追加しました。農業特有の勘定科目もあるので便利です。売上収入については勘定科目が「売上」に固定されており、「農産物売上高」を追加できないので、「売上」を使っています。確定申告時は農業用の青色申告決算書を使用するので問題ありません。

水道光熱費や通信費などは家事按分機能もついていて、予め割合も設定できますので自動で計算してくれます。残高試算表や月次集計表を逐次集計可能ですので、経営管理にも役立ちます。

とはいえ、こちらのシェアウェアも一般個人事業主向けといった感じなので、農家を想定しているわけではなく、農業用決算書を自動作成できるわけではありません。ですが、慣れれば自分ですぐ作成できるので問題なしです。クラウド会計ソフトでは年間1万円以上支払っても自動作成できなかったことを考えれば、こちらはかなりコストが安いので許容範囲です。

注意点をいくつか

年度の途中でfreeeからこちらのシェアウェアに引っ越ししたわけですが、ちょっと大変だったのは、期首から年度途中までのすべての仕訳を入力しなおす必要があった点です。400仕訳くらいあったと思います(汗)切り替えのタイミングが悪く、9ヶ月分くらいデータがあったので仕方ないですね。csvデータを一気に読み込む機能がないのは残念。もし移行を検討されるなら、年度の初め(個人事業主なら1月1日)が良いかもです。あとは、勘定科目ごとに期首残高も入力する必要があります。

本当に、この低価格でよくできたシェアウェアなのでおすすめです^^;

ついでに言えば、会計データがすべてひとつのエクセルデータに格納されている状態なので、定期的にデータ自体のバックアップを取っておいたほうがよいと思います。Dropboxなどのクラウドストレージと同期させておけば、最悪削除してしまっても復旧できるかもしれません。私はPCローカルに置いた会計エクセルデータをDropbox&Onedriveへ二重同期させているので、どうしても外出先で数字を確認したいときはエクセルアプリを使って見られるようにしてます。

カテゴリー

伊藤祐介|Yusuke ITO

伊藤祐介|Yusuke ITO

自然とアートが好きな自然栽培農家(シンフォニアファーム)。多趣味で飽き性。

関連記事