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農業の世界って、栽培に関していろんなジンクスのようなものがあるように思います。
たとえば、ホウレンソウやジャガイモは酸性寄りの土で栽培したほうがよいとか、トマトは第1花が咲いたころに定植するとか、ナスは肥料食いだから追肥も欠かせないとか、挙げればたくさん出てきます。
作物本来の性質ゆえに地域(栽培環境)問わず共通するものもあれば、地域によって捉え方の違うものなど様々です。
こういったジンクスのようなものは、直接農家さんの話として耳にする、あるいは書籍やネットの情報によって得られることが多いですが、もちろん的を射た内容のものも少なくないと思います。
日本の現代農業は、「施肥と防除」を前提とした慣行農法を基礎として成り立っていますので、行政やJAが語るそれも、そういった現代農学の範疇で語られます。
最近では、国も有機農業を奨励するように変化してきていますが、国の推奨するそれは、基本的に「施肥・防除」を前提としている側面が強く、僕個人としては慣行農法と(狭義の)有機農法はかなり近似した考え方だと理解しています(施肥により成長させ、防除により病虫害を防ぐという点で共通)。
とはいえ、決して施肥・防除の農業を否定しているわけではありません。いわゆる「緑の革命」を含めて、近代以降の人口爆発に対応するためには非常に画期的で有意義なものであったと思います。
一方、僕の農園が前提としている栽培の基本的な考え方は「無施肥・無投薬」であり、ある意味で現代農学の範疇外にあり、「非常識」です。
そのため、普段ほかの農家さんやJA/行政の関係者の方と話をする際に、話がなかなか噛み合わないことが多く、それがなんとも歯がゆいというか、どうも虚しく感じられてしまいます。
相手は施肥・防除を前提とした現代農学の範疇で話をしており、僕はといえばその枠の外で思考をしているので、依って立つ土台がまったく違い、話が噛み合わないのは当然といえば当然です。
冒頭に書いた、いわゆる作物栽培のジンクスも、基本的には施肥・防除を前提とした現代の「常識」であるため、無施肥・無防除での栽培では当てはまらないことも大なり小なり存在します。
もちろん共通することもたくさんありますが(発芽適温や水分管理など)、中にはむしろ真逆だったりすることも少なくないので、その区別をすることは容易ではありません。
無施肥・無投薬での栽培自体、実践農家が極端に少なく情報はかなり限られます。情報があったとしても、栽培する環境は同一ではありません。他の圃場で成り立ったことが自分の畑では成り立たなかった、ということは珍しいことではないと思います。
結局のところ、自分でやって試してみるしかない、ということになると思います。