無施肥転換初期で育ちやすい野菜


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圃場の来歴や周辺環境について

新規就農をして、先月5年目に入ったところになりますが、4年間さまざまな野菜を多品目で栽培してみて、従来慣行栽培の水田だった圃場から急に無施肥無投薬の畑に転換した場合、どういった野菜が比較的育てやすく、どういった野菜がそうでなかったか、個人的経験の域は出ませんが、参考になればとまとめさせて頂こうと思います。

ちなみに、畑の広さは3反ほど(約3000平米)で、土性は強い粘土質、借り受けるまでは毎年慣行農法による稲作に使われていた圃場です。数百mあるいは数km離れれば、小さな森や山があるようなところで、比較的見通し、風通し、日当たりともに良い環境だと思います。

区画整備もなされていて、用水・排水ともに不便はほとんどありません。

周囲をとりまく他の圃場は、すべて慣行農法による水田あるいは畑です。

無施肥転換でおすすめできる野菜

イモ類

これは割りと予想できたことかもしれません。

うちの畑では、じゃがいも、さつまいものほか、きくいも(北米原産)やヤーコン(アンデス高原原産)といった芋類も育てており、地下の塊茎類として、他にも生姜や里芋を育てています。

里芋は毎年栽培していたわけでもなく、作付け本数も少なかったので、今回は例外として、少なくとも、じゃがいも、さつまいも、きくいも、ヤーコン、生姜については、無施肥栽培で、かつ転換2~3年目に起こりやすい好転反応による減収や生理障害等の影響も受けにくく、転換初期から売上に貢献してくれる品目ではないでしょうか

ちなみに、転換初期の好転反応については以下の記事にまとめています。

無施肥無投薬 転換2・3年目は我慢の年?
2018年の秋から今の畑で野菜づくりを始めて2年半と少しが過ぎ、現在3年めで、肥料や堆肥、農薬や除草剤を使わない野菜栽培を続けています。 そして今は夏野菜の生育…
labo.sinfonia-farm.com

じゃがいもやさつまいもは戦時下などに救荒作物として重宝された野菜でもありますが、肥料なしで、かつ土が痩せていても育ちやすい作物として有名ですね。ただ、特にさつまいもは粘土質の排水不良の土では育ちにくいと思いますので、うちと同じような粘土質の土性であれば、畝を幅広にしてできるだけ高畝にしたほうがよいかもしれません。

きくいもについては、現状まだそれほど市民権を得られていないような気もしますが、じゃがいもやさつまいもに比べて非常に糖質が少なく、かつカロリーが低く、イヌリンという水溶性食物繊維を多く含む整腸作用のある野菜です。

うちで栽培した紫菊芋

きくいもはとにかく生命力旺盛で、芋の断片が土に残っているだけで勝手に芽生えて勝手に育ちます。毎年栽培していますが、虫の食害などが出ることは一度もなく、10月下旬あたりから翌年3月くらいまで収穫でき、野菜の少ない冬場にとても重宝します。

生姜についても、それほど大きな失敗をしたことがありません。草管理をサボってしまったこともありましたが、それでもそれなり大きさで採れることが多かったです。下の写真は、今年収穫した「近江生姜」という品種の新生姜です(ひね生姜の部分は取っています)。収穫が早かったのでこのサイズですが、晩秋ごろにはもう少し大きくなっていたかと思います。

近江生姜の新生姜

イモ類最後は、これまた珍しい部類の野菜であるヤーコンです。

アンデス高原原産のさつまいもにも似た野菜で、きくいも同様、低糖質、低カロリーで、フラクトオリゴ糖を多く含み、整腸作用があると言われます。食感と味が、果物の梨に似ていることも特徴で、生で食べても美味しいイモ類です。

初めて栽培・収穫したヤーコン

以上、イモ類に関しては、無施肥転換初期でおすすめの野菜品目としておすすめできそうです。


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マメ類

マメ科の植物は、自身の根っこに根粒菌(リゾビウムなど)を共生させて、根粒菌が大気から窒素を固定して作った窒素化合物(アンモニア態窒素)を得て成長することで知られます。

もちろん、作物の生育に必要な養分は窒素だけではありませんが、就農後これまで毎年栽培してきた茶豆の枝豆と丹波黒枝豆・大豆は、ほぼ失敗したことがなく、収量も慣行栽培に遜色がありませんでした。

毎年自家採種の丹波黒枝豆

真偽の程はわかりませんが、マメ科の野菜は土を痛めるとも言われ、無施肥の自然栽培でも連作は避けたほうがいいと言われることがあります。輪作相手はイネ科がよいとも言われますが、水稲をされるのであれば、水田と大豆畑を毎年入れ替えて輪作するのもありかもしれません。イモ類との輪作も可能そうですね。

ということで、マメ科の野菜として枝豆・大豆のほか、エンドウやインゲン、四角豆、落花生などもおすすめです

オクラ

実は就農3年めにあたる2021年、露地の夏野菜全般の生育が悪く、なすやピーマン、ズッキーニなどは苗を定植したあとに生育不良で収穫ゼロとなってしまいました。

ただ、そのなかでも、例年より生育は若干劣るもののちゃんと生育し、毎日収穫ができたのがオクラです

今年の2022年にいたっては、高さが2mを超えるものも増えてきて、収穫量についていえば慣行栽培に遜色ありません。品質も食味も非常によいです。

ちなみに、うちでは「クレムソンオクラ」というアメリカでポピュラーな多角形タイプオクラを栽培しています。

クレムソンスパインレスオクラ

以前までポット苗を育てて定植していましたが、今年からはすべて直まきに切り替えて、1穴4~5株、40cm株間2条で密植ぎみに栽培していますが、それほど葉が繁茂しないので、風通しはそれほど問題なさそうです。

夏野菜の露地栽培品目としては、転換初期はオクラの割合を増やしてもいいかもしれません。

ミニトマト

うちの畑にはハウスが2棟あり、そのうち1棟は夏の間はトマトのみを栽培しています。その半分強はミニトマトですが、ミニトマトも生命力が強く、比較的育てやすい部類ではないかと思います。

もちろんミニトマトであれば露地栽培でもよいと思いますが、たとえミニでも、梅雨の時期や秋の長雨の時期など、そのほか台風やゲリラ豪雨のある夏秋の間も、実割れをしてしまうリスクはあります。営農であれば、やはりトマトの栽培はハウスがベターです。

もしハウスがあれば、転換初期にミニトマトを栽培しても良いかもしれません。需要もあり、付加価値をつけても販売しやすいでしょう。

ちなみに、うちのハウスでは今年「トマト黄化葉巻病」というウイルス伝染病が広がり、収穫量はだいぶ下がってしまいました。土壌伝染はしないので、来年への直接の影響はないのがまだ救いです。

リーフレタス

ようやく葉物野菜が出てきました。

キク科の野菜であるレタスは、アブラナ科野菜のように虫食いに遭いにくく比較的栽培容易です。好転反応の影響もそれほど感じられず、毎年秋から翌春にかけて安定的に栽培できた野菜です(露地+ハウス)。

過去にはアブラムシが出て、リーフレタスの葉っぱ1枚1枚掃除をするのが大変だったことがありますが、結球レタスであればそのような心配もなさそうです(その代わり結球タイミングなど、栽培難易度は上がります)。

リーフレタスについて特記しておきたいのは、株間30cm2条という標準的な栽培をした場合、うちの畑では非常に大きく育ち、大きすぎて販売しずらい(お客さんが冷蔵庫に入れにくい)ため、株間をもっと詰めて小さく育てようとしているくらいです。収量については慣行栽培並ということになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

上記をまとめると、過去4年間にさまざまな野菜を多品目で栽培してみた結果として(栽培していない品目も多くありますが)、各種イモ類、各種マメ類、オクラ、ミニトマト、リーフレタスを挙げさせて頂きました。

これらの野菜が、少なくともうちの畑では転換初期に好転反応の影響をうけにくく、比較的安定的に収穫できて、売上にも貢献してくれた野菜たちということになります。

これから無施肥転換などを検討されている既存農家さんや新規就農希望の方などに参考にしていただければ幸いです。


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